楽天送料無料のこと
最近のニュースといえば、新型コロナウィルス。
そして、日を追うごとに取り上げられるようになってきた楽天の3,980円以上の購入での送料無料化。
世間の風当たりが強くなってきたのを意識しているのか、
「送料無料」を「送料込み」の表記に今になって変更するようですが。
確かに、倉庫を借りて、型番商品を仕入れて他店舗よりも安く売るだけの出店者は厳しくなるでしょうね。退店する店舗も増えるでしょう。
楽天市場に出店している当事者である弊社も、どちらかというと今回の施策には反対です。
理由として、
1.店舗売上は増えるかもしれないが、利益が増えることは無い
2.店舗にだけ負担を強いている
3.「送料無料」が強調されすぎ
4.楽天市場のイメージ悪化
5.消費者にもデメリット
が挙げられます。
1.単純に売上は増えても送料分の経費負担も増える。例えば、4,000円の商品を送料込みで出荷するとしたら、
商品4,000円ー原価2,400円ー送料600円ー楽天諸経費約15%で600円=粗利400円。。
ここから更に人件費やらを引いていくとほとんど残らないんですよね、本当に。
少し前には、ネット通販は売れると儲かるよね!なんて聞きましたが、はっきり言ってそんなことはありません。本当に儲かるのはプラットフォーマーである楽天のみ。
(GAFA見ててもわかるよね)
2.そもそも店舗だけが送料を負担するのではなく、楽天も身を削るべきです。
数千億円かけて物流施設を整備しているとは言っても、高額な倉庫代をとるわけだし。そこから出荷するゆうパックの出店者向け送料もめちゃ高いし。
送料や配送会社は出店者ごとに異なるので、例えば注文金額によって1件あたり◯◯円楽天が負担するとか、手数料を◯%下げます!とかがあれば、ここまで反発もなかったと思うのですが。
3.送料はかかるものなのに、「送料無料」が強調されすぎて「配送の価値」が踏みにじられていることも腹立たしいです。出荷して1〜2日で荷物が届くという「価値」の対価が「無料」って酷くないですか?運送会社さんも人を抱え、トラックや営業所をたくさん保有しているのに。消費者からしたら安い方がもちろん嬉しいけど、発生するコストに納得できれば、それを負担することへの抵抗は少ないと思います。
4.この一連の騒動で間違いなく楽天のイメージは悪化しています。更に、公取委への事前の打診で独禁法抵触の可能性を指摘されていたことも判明しました。にもかかわらず、先日のカンファレンスで「国や公取委と対立してで成功させる!」と言ってしまい、ますます独善的なイメージが固定化される始末。こんなモールで買い物したくないなぁ。。と思う消費者は結構多いと思います。
5.これを機会に送料込みの値付けをする店舗もあるでしょう。では、2個以上の商品を購入した場合、どうなるのでしょうか。総額から1商品分の送料を引いてくれるのでしょうか。良心的な店舗は対応してくれるかもしれませんが、そのような対応は出来ない店舗もあるでしょう。そうすると、消費者は余分にお金を払うことになります。
色々な問題を抱える今回の「送料無料化施策」。
3月18日の実施予定日まであと一ヶ月余り。個人的には土壇場で見送りになるような気がしています。
とにかく、一出店者としてはこのイメージ悪化を早く払拭し、消費者が安心して買い物が出来るモールに戻ることを切に願います。